夜も更けて、ポツポツと人が帰り始め、最後に、Oさんと社長、Tさんと私の4人が残った。―升瓶を真ん中に、2階のリビングの板の間に車座になった。社長の、岡部材木に対しての不満は、ここでも爆発した。確かな木造の技術を残していくために、大工は身体を張っている。材木屋が、ちゃんとした材を提供しなくては、せっかくの技術も充分に活かせないという。けれど、これに対してOさんも、反論する。国産材を使った木造技術を残していくためには、どんな木であっても、まず使うことが大切だ。
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そうでないと、国産材の木造住宅自体が、一部の金持ちの道楽になってしまうと主張する。私も、Tさんも、この口論に、口を挟めないまま、黙って耳を傾ける。今、日本の木造住宅は、瀕死の状況にある。職人は、住宅メーカーの下請け作業員という位置づけで作業に組み込まれ、その昔から職人として培ってきた伝統と技術と誇りが、徐々に消えようとしている。そうした中で、技術を継承し、自立した大工集団として生きようと思えば、社長としては、その技術を駆使して最高峰の仕事を目指すしかない。あれが、眞木建設の仕事だと言われるようなものを残していくしか、生き残る道はない。だからそのために、社長は命を張ってきた。